非日常空間で産後の立ち上がりをケアする「産ケーション」の実証実験をナスコンバレーにて実施

非日常空間で産後の立ち上がりをケアする「産ケーション」の実証実験をナスコンバレーにて実施

理想の産後ケア環境の実現と、地域・首都圏の新しい関係性づくりを目指す

100個の新産業の共創を目指す「新産業アクセラレーター」SUNDRED株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:留目 真伸、以下:SUNDRED)は、推進する新産業共創プロジェクトのひとつである「プレコンセプションケア産業」のプロジェクトの一環として、栃木県那須エリアにある国内最大級のリビングラボ「ナスコンバレー」において、株式会社こそらぼ(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:久保 主税、以下:こそらぼ)が中心となり、非日常空間で産後の立ち上がりをケアする「産ケーション」の実証実験を実施したことをお知らせします。

■プレコンセプションケア産業
コンセプション(Conception)とは受胎のこと。プレコンセプションケア(Preconception Care)は女性やカップルが妊娠について考えるとともに、社会としてそれをケアしていくことです。人間も生物であり、妊娠・出産においては身体的な制約があり、個人差もあります。人生の選択は個人の自由であり、それぞれの意思に基づく多様な選択があってしかるべきですが、「正しい知識」と「適切な環境」があった上で自由な選択が行われる環境づくりは重要です。「プレコンセプションケア産業」の共創プロジェクトでは、プレコンセプションケアと社会システムのあるべき姿を想像し、それを実現するためのエコシステムの仮説や、トリガーとなる事業・サービスを共創し、Society 5.0「人間中心の社会」に求められる、人の人生をサポートする新たな産業領域を創出していくことを目指しています。
https://www.industry-up.com/12-preconception-care

(※SUNDREDの新産業共創プロジェクトでは、多様なセクターのインタープレナーとの対話を通じて目的・アジェンダの共創、エコシステム仮説の共創、トリガーとなる事業の創出等を行っていきますが、「プレコンセプションケア産業」に関しては、活動を通じて徐々にスコープが広がり要素が追加されてきているためプロジェクトの名称を2023年1月から「セクシャル・リプロダクティブ・ウェルビーイング(SRW)産業」に変更予定です。)

■「産ケーション」とは
「産ケーション」とは、0歳児の⾚ちゃん及び未就学児がいる家族を対象に、⾮⽇常空間(別荘地、宿坊など)を、産後ケアサービスや地域交流の仕組みを組み合わせることで、(1)産後の立ち上がり支援、(2)育児疲れを癒すための空間を提供するサービスです。「産ケーション」は、⽇常⽣活で感じるストレスを、様々な⽀援を得ることで解消し、⾃宅に戻った後もストレスを感じることなく、育児ができるようになることを⽬指します。

「産ケーション」概要「産ケーション」概要

具体的には「(1)産後の立ち上かり支援」「(2)育児疲れを癒す」の二つの領域に関するサービスを、別荘地や宿坊等の非日常空間で、産後家族に対して提供していきます。産後の休息を家族と過ごすことができる、育児の⽴ち上がりを専門家に伴⾛してもらえる、滞在中に育児・家事のスキルアップができる、育児で疲れた時に家事や育児から解放されリラックスできる、地域交流により親子とも様々な体験の機会を得ることができる、等のベネフィットを実現します。
また、特に首都圏で出会い、出産し、「ふるさと」を感じることが無いカップル(およびその子供たち)に、自治体や地域企業・コミュニティとも連携の上、産後の立ち上がりのみならず、子育てについても最適な環境を提供し、長期的に持続する地域と首都圏をつないだ新しい関係性づくりも行っていきます。

■実証実験の詳細
今回の実証実験では、都心に住む0歳児のお子さんがいる2組の家族に協力を頂き、栃木県那須エリアにある別荘(戸建)に数日間滞在し、仕事はリモートワークで行い、家族と日常を過ごす体験を頂きました。滞在中は、地域で活動するコミュニティナース(助産師、看護師)が訪問し子育てのアドバイスを行う、オンラインで夫婦関係を見直すワークショップを開催する、などコミュニケーションをテーマにした活動を行いました。また、今回の実証実験では、アンケートによる健幸度®️のスコア化と、デバイスでバイタルの計測を行うことで、ストレス度合いを計測し、効果測定を実施しました。

実施期間:2022年11月8日(日)から2022年11月20日(日)
実施場所:リビングラボ「ナスコンバレー」(藤和那須リゾート株式会社)
所在地:栃木県那須郡那須町
実施内容:「産ケーション」に関するコンセプト検証

コンセプト1 非日常空間での日常
生活空間の前提を、自宅から自然豊かな高原リゾートの別荘地に移す。広い居住空間で赤ちゃんとの日常を過ごすことで、心に余裕ができ、育児を楽しむことができる。

・別荘(戸建)に滞在する
・リモートワークをするスペースを確保し、仕事をする(ワーケーション)

コンセプト2 コミュニケーション
産後は0歳児の育児で緊張し、目の前のことで精一杯な日々が続く。そのため、非日常空間で生活して気分を変えることによる気付きや、日常では接点のない第三者の語りかけによる気づきで育児の不安や負荷を軽減できる。

・夫婦関係を考えるワークショップ(オンライン)
・コミュニティナース(助産師、看護師)が訪問し、対話を実施(リアル)

コンセプト3 あの手この手
日常生活をするために、必要に応じて適切なサービスやソリューションを選択し、利用できるようにすることで、自分一人で育児を頑張る必要がなく、選択肢があることを理解する。

・別荘エリア内にある施設及び周辺の施設の活用(レストラン、カフェ、スーパーなど)
・赤ちゃんの寝かしつけを支援するソリューション「スマートベットライト ainenne(あいねんね)」

■実証実験を通じて確認できたこと
1. 産後の立ち上がり時期に自宅を離れ、非日常空間である別荘で生活することについては、好意的な反応を頂きました。
2. 日常を離れたところでの夫婦関係を考えるワークショップは、参加者の満足度も高く、高い評価を頂きました。
3. 兄弟がいる家族の場合、リモートワークで仕事をするためには、地域と連携し、地域の保育園で一時預かり保育を実施することが求められることがわかりました。
4. 別荘等の宿泊場所で小さい子どもがいる家族が安全に生活するためには、そのための配慮が必要であることが再確認できました。
5. 産後の家族が初めてのところに滞在する場合、必然的に荷物が多くなるため、移動手段を含め、必要な物品をどこで手配する必要があるのか・手配できるのか、一連の行程を含めて考える必要があることを認識し、「産ケーション」の本番提供に向けては、必要な情報の提供のみならず、行程の全体像における必要なサポートを十分に検討する必要があることを確認しました。

■今後の展望
「産ケーション」は、子育ての課題を解決することをゴールに、「非日常空間」「コミュニケーション」「あの手この手」の3つの構成要素を組み合わせたプラットホームの実現を目指しています。子育ての課題は環境や状況によって変わるため、利用者が必要に応じて必要なソリューションを選択できることが重要であることはわかっていますが、1社で解決することができません。子育ての課題を解決したいと思って活動されている方々との連携、協力が必要です。
日常を非日常空間へ移すという観点では、別荘だけでなく、宿坊やシェアハウスなどでも対象になるのではないかと考えています。また、日常という観点からは、仕事を非日常空間でできるようにするため、地域と連携し、一時預かり保育の制度を活用できるようにすることで、利用しやすい仕組みを整備していきます。コミュニケーションでは、子育て中の夫婦のコミュニケーションを良好にすることをサポートすることと、社会とのつながりを作ることで、孤立を防ぐことをテーマに展開していきます。そして、今困っていること、そして思い込みの壁で無理していることに気づきを提供し、あの手この手を利用することで、課題を解決できる選択肢を、ソリューションを提供している方々と連携し、増やしていくことを目指しています。
また、「産ケーション」をきっかけとした長期的に持続する、地域と首都圏をつないだ新しい関係性づくりの可能性も検討を進めていきたいと考えます。

実証実験概要実証実験概要

【本実証実験で利用したソリューション】
別荘サービス:https://www.pure-cottages.jp/ (藤和那須リゾート株式会社)
スマートヘッドライトainenne(あいねんね):https://ainenne.com/ (株式会社ファーストアセト)
健幸度®️ HappinessBookアプリ:https://s-h-d.co.jp/solution/ (Social Healthcare Design株式会社)
Fitbit Inspire2: https://www.fitbit.com/global/jp/products/trackers/inspire2  (Fitbit, Inc.)
コミュニティナースinトチギ:URLナシ
育児の孤立を防ぐ仕組み coe(こえ):https://www.miraikosodate.com/ (NPO法人未来経験プロジェクト/株式会社こそらぼ)

■SUNDREDの新産業共創プロジェクト
SUNDREDでは2019年7月の新産業共創スタジオのローンチ以来、「ユビキタスヘルスケア産業」「フィッシュファーム産業」「ハピネスキャピタル産業」等の約12個の新産業プロジェクトを推進中です。その最大の特徴は個社単独での新規事業の開発ではなく、社会起点での新産業の共創を推進していくことで結果として各社の事業機会・投資機会の創出を進めていくというコンセプトにあります。社会起点の目的を多様な社会人との対話の中から共創し、駆動目標となるエコシステム仮説に落とし込み、エコシステム構築の中核となる事業(トリガー事業)を創出し成長を加速していくことで、エコシステム構築を進めていきます。アカデミアの知見とプロジェクトの実践を融合させた「新産業共創プロセス」、目的志向で行動する社会人「インタープレナー」のネットワーク、各所で推進されているイノベーション活動を集約して社会実装を進める「リビングラボ」の開発・運営を通じて、新しいパラダイムに求められる新産業の創出・社会実装を加速しています。

■これからの社会を牽引する「インタープレナー」について
SUNDREDはこれからの社会を牽引する人材として「インタープレナー」の開発に取り組んでいます。インタープレナーとは、組織の枠を超えて社会起点で発想し、オープンでフラットな対話を通じて目的を共創し、仲間とリソースを集めてプロジェクトを進め、目的を達成していく「社会人」のことです。全てのセクターに顕在・潜在している「インタープレナー」達が、新しい時代の価値創造の仕組みを理解し、自らの生き方について考え、動き出していくことによって新産業の共創が加速されると考えています。
SUNDREDのインタープレナーコミュニテイーは、大企業、中小企業、スタートアップ、政府系公務員、自治体職員、大学研究者、医療者、教育者、プロフェッショナル、学生など各セクターから集まったインタープレナー約1,500人が参集・参画し、新産業のテーマや「実現すべき未来」について継続的に対話を行っています。昨年度は経済産業省関東経済産業局と共同で「令和3年度 越境人材を中核とした新産業共創エコシステム構築事業」を推進し、「インタープレナー(越境人材)」の育成についての政策提言を実施し、今後も益々加速させていきます。
https://www.interpreneur.jp/

■会社紹介
企業名:SUNDRED株式会社
設立:2017年3月設立
代表者:留目 真伸
本社:東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー
オフィス:東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー11階
概要:100個の新産業の共創を目指す「新産業アクセラレーター」。「新産業共創スタジオ」を運営し、エコシステムのデザインを起点に成長領域にリソースを集約し、新産業を共創していく 。
URL:https://sundred.co.jp